さんぽに行きましょう

スイスに住む 犬のつれづれ日記

「君は柔道家Ono Seikoを知っているか?」

朝のさんぽ、夕方のさんぽ。

朝日と夕日。どちらも私の野性の心に沁みます。

それはきっと人間の皆様も同じでは。

 

さんぽ中に美しい夕日が沈む瞬間に出くわした時などには、パパママは、しばし時を忘れ、その場に佇むことも。

私としては早く森の方に走って行きたいんですけどね・・・

 

今日、夕方のさんぽに出かける前、長男坊ちゃんが嬉しそうに大きめのショッピング袋らしきものを抱えて帰って来られました。その袋は学校のお友達からいただいた、とのこと。

どうやらママはその中身を知っておられるようで、「あ、もらったんや?見せて見せて!」とワクワクしながら長男坊ちゃんの抱える袋に手を伸ばされました。

 

その袋の中身にはこのような経緯があったそうです。

 

ママには、行きつけの美容院がございますが、そこの担当美容師(フランス人)の方が、かなり濃いキャラクターをお持ちで、ママは毎回彼とバトルしながらヘアカットしてもらっているそうです。バトルの度ママ、絶対次は違う店探したる!と思われるようですが、最終的な仕上がりはいつも結構いい感じで、周囲にも好評なので、結局、その美容院に戻っていくことに。ちなみにバトルはこんな感じだそうです。

 

バトル例その1。

ママ「今回は、左右の長さをアシンメトリーしたボブにしてください。」

美容師さん「何故そうしたい?君はそうしたい理由をちゃんと考えたのか。」

ママ「いやー、考えてはないけど、雰囲気変えたいかなーって。」

美容師さん「じゃあ、斜めにするのは前髪だけにしろ。やりすぎは良くない。」

ママ「はあ・・・今日はそうします・・・。」

 

バトル例その2。

ママ「今日は思い切って、ショートボブにしたいです。ほら、こんな風に(Pinterestからの写真を見せながら)。」

美容師さん「ショートボブなら、夏まで待て。今はまだ寒い。」

ママ「・・・。」

 

バトル例その3。

ママ「今日は耳の後ろあたりに部分的インナーカラー入れてほしいです。」

美容師さん「中途半端はダメだ。染めるなら染める。染めないなら染めない。日本人は全体を茶髪にするだろう?あんな風ならやってあげよう。」

これ以上絶対負けたくないママ「いや、日本人だって、こんな風に染めてます。ほら!こんな風に私はしたいんですってば(Pinterestの可愛い日本人お姉ちゃんモデルを見せながら)!」

美容師さん「お、この娘知ってるかも(ちょっと顔がほころぶ)。これ、いいな。おう、これにしよう。」

ママは内心、なんや、筋の通った頑固親父かと思ったら、可愛い姉ちゃん好きのただの気まぐれ親父かい、とちょっとがっかりしながらも、その回はリクエスト通りに仕上げてもらい、大変満足しておられましたが。

 

そして先日偶然、その美容師さんの息子さんと我が家の長男坊ちゃんが同じ学校の同級生であることが発覚したのです。その流れで長男坊ちゃんにとって今一番熱いスポーツ、柔道の話になりました。

なんと、美容師さんは若かりし頃、フランスの全国柔道大会で1、2位を争うほどの実力の持ち主だったそうで、今も週に一回、柔道クラブに通って肉体と精神を鍛えていると、誇らしげに胸を張って語られたそうです。

 

美容師さん「ところで、君は柔道家Ono Seikoを知っているか?」

ママ「オノ・セイコ?」

美容師さん「そうそう、オノ・セイケ」

ママ「オノ・セイケ」?

美容師さん「そうそう!オノ・ショウケ!」

 

そうそう言っとるけど、毎回全部名前変わっとるやん、と突っ込みたい気持ちをグッと抑え、ママ、笑顔で「わかんないですねぇ」と答えました。

 

すると、美容師さん、ポケットからスマホを取り出し「彼だよ、彼。」と見せてくれたその人物は・・・

 

オリンピック金メダリストの『大野 将平』さんでした。

オーノ、ショーヘイ。オノ、ショウコ。オノ・セイケ。オノ・セイコ・・・

まあ、分からなくもないですかね。

 

美容師さん、彼の柔道技は最高なんだぜ、俺は週末にスイスで開催される彼のイベントに参加するのだ、世界チャンピョンと会うのだ!と、どんどんテンション上がり、饒舌に。

そしてママのヘアカットが仕上がる頃には「君の長男坊くん、もし彼のサイン欲しかったら、柔道着持ってきな!もらってあげるから。」との話にまで盛り上がっていったのでした。

 

家に帰ったママ、長男坊ちゃんにその話をしたら、当然のことですが、大喜び。美容師さんに柔道着を持って行って、サインを頼んだのでした。

 

さあ、これが今日、長男坊ちゃんが学校でお友達、すなわち美容師さんの息子さん、から受け取り持ち帰った袋の中身の正体だったのでございます。

 

大野将平さんのサイン入り柔道着



顔写真付きのサインもいただきました


この美容師さん、我が家ではその憎まれ?愛され?キャラクターが何かと話題になるのですが、なんだかんだ言って気の良いお方なのだと思われます。

 

ただ、ママが私を飼い始めたと伝え時、どうしても聞き捨てならないことをおっしゃられたのです。

「なんで犬なんか飼った?俺は子供にどんなにせがまれても絶対にやだね。俺の家で飼うのを許されるのは猫までだ!」

 

・・・このバトル、私モカチーノが受けて立とうと思います。

 

 

どついたるねん。・・・あ、それはボクシングか。